夢十夜

いつものように、君を君の家に送る。

君の家は緩い坂の一番上にある。車のアクセルを踏んで、いつものように、登る。

「今日ね、真美ちゃんに聞かれちゃったの」

君は俺の左隣で、突然口を開く。

「何を聞かれたの?」

「あなたの他に、何人男がいるのかって」

「え?」

え?   俺の他、え?

ゆら、と、道路に引かれた白い平行線が揺らいで見えた、気がした。

「それで、いるの、何人」

しどろもどろになる俺に目もくれず、君はフロントガラスに向き合ったまま、言葉を放った。

「うん。いるの。10人」

自分でもはっきりと、血の気が引いていくのがわかった。

「でもね。いいよね?   あなたはそれでも」

「良くないよ!」

反射で言葉が出ていた。良くないよ、それじゃ。なんで、いいんだよ。なんでそんなことを言うのか、君がわからない。

「俺は、その10人を合わせた中で何番目なの」

なんでこんなことを聞いてしまったのか、俺がわからない。

「入らないよ。あなたはその中に」

君がそう言ったのと同時に、坂の一番上に着いた。

「ありがとうね」

君はそう言って、シートベルトを外し、車から出て行ってしまう。

俺は君の何なの。

俺は君の何なの。

俺はただ、君のことが。

 

 

そこでふっと目が覚めた。

左隣には、俺のベッドですやすやと寝息を立てている君が居た。

それでようやく夢だと気付く。

眠る君に口付けて、思い切り抱きしめる。

そして君は目を覚ます。

俺はただ、君のことが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝目が覚めたら恋人が、こんな夢を見たと言って話してくれた話です。

話せば正夢にはならないから、と話す恋人を見ながら、この人を不安にさせたくないのにな、と思いました